雇用延長と生成AIの普及について

「日本が自滅する日」(石井紘基)のページをめくってみた。本書は今から20年前の書籍である。

自民党のいわゆる「裏金疑惑」がマスコミやネットをにぎわしているが、ほんらい3月は、国会で一般会計が審議され可決される月である。

一般会計はいちおう予算委員会で審議される。そして予算が通ると翌日には新聞各社はいっせいに報じる。

それに対し、特別会計はあまり新聞で報じられることはない。

国の本来の会計である「一般会計」予算は85兆円(*出版当時)と書かれたカモフラージュ(迷彩)の中に置かれ、実際の運営は誰も知らない(「*特別会計」という)260兆円という巨額のカネが闇の中のコウモリの大群のように飛び交うことになった。この中で補助金として配分される金額は少なくとも50兆円、公共事業関係で支出されるカネは国だけで30兆円にもなる構造が完成しているのである」(p21)*印の言葉はブログの筆者による加筆

「日本が自滅する日」(石井紘基)

出版当時で補助金は約50兆円。現在はどのくらいだろう? 時間があるときに調べてみたいものだが、ま、仮に現在も50兆円として..50兆円だぜ! 日本は「補助金付け」といっても言い過ぎではない。

現在、年金の支給年齢は65歳に引き上げられている。一方、基本的に会社の定年は65歳まで引き上げられている。5年間「努力義務」として会社は雇用し続けている。

雇用延長について、なんだかモヤモヤしていて。

少なくとも会社というのは利益を最優先するマシーンのようなものだ。いや、それを批判するつもりはない。むしろスパッと割り切れて分かりやすい。もしろ利益追求とは違う領域は社会でやって欲しい。その意味で日本の社会は薄いとおもう。もっとブ厚くしたほうが良い。

ハナシがそれてしまった。

60歳以上の雇用延長のハナシだった。企業は合理的な判断をする。

一方、すべてとは言わないが高齢者はしごとの能率は落ちているし、新しいスキルを学ぶ意欲も少ない。

ならば企業は雇用を延長せず、支払っているお金を若者の新規雇用に充てたいはずだ。少子化により、この傾向は著しい。

なのに65歳まで雇用を延長するのは不思議である。

この疑問に対して、先日、ある人と話していてその謎が解けた。

60歳以上の社員を継続して雇用したばあい、年間60万円の補助金が出るんだね。5年間で300万円。

この補助が、会社が高齢者を雇うインセンティブになっている。

オッケー。ここで仮説を立ててみよう。AIの普及という視点だ。

生成AIが会社に浸透してくると、一人ひとりのパフォーマンスがあがる。いままで100のものが200できるようになる。仕事の量が同じなら半分の人数で事が足りる。

このような状況になったら高齢者の雇用はどうなるだろう。

年間60万円の補助金が出ていても、給与との差額のぶんお金を支払ったり、健康保険料の半分を負担する合理的な判断はなされるだろうか?