ウォータゲート事件と「文春」の事件

「大統領の陰謀」を何度も観ている。

ボヴ・ウッドワード役のロバート・レッドフォードが輝いている。

それから、世界一の権力を持つアメリカ政府に対峙するワシントン・ポストの真摯さが好きだし、この映画を観るにつれ、ジャーナリズムについ憧れを抱いてしまう。

もちろん、ウォータゲート事件について、ワシントン・ポストの、ボヴ・ウッドワードやカール・バーンスタイン、主筆のベン・ブラッドリー、社主のキャサリン・グラハムの存在は無くてはならない人物だ。

だたしワシントン・ポストだけでは、この事件の真実には、たどり着けなかった。”ディープスロート”の存在が大きかった。

長いあいだ謎の人物だったが、21世紀に入り、当時FBIの副長官であったことが判明している。

違う見方をするなら、官僚組織の情報は、いくら外部からアプローチしても、”ディープ・スロート”のような内部情報の告発者なしでは得られない。

日本では内部告発者の人権は法律的に守られているようだ。しかし実際は、内部告発する人は皆無と言ってよいだろう。

現在、「週刊文春」がある事件を連載している。

警察には過去の不自然な事案を再捜査する制度があるらしい。本件のポイントは2つある。

1)当時自殺で決着していた案件が不自然で、他殺の線で再捜査が行われていたが、上からの指示によりイキナリ捜査が打ち切られたことが問題になっている。

2)もし他殺が事実なら、岸田政権のナンバー2とされる木原官房長官の奥さんが関与している可能性がある。木原氏は警察機関に影響力を行使した疑いが浮上している。

このスクープに対してテレビは全く報道していない(と思う)。

新聞では産経新聞が付きだし記事を書き、朝日新聞が「天声人語」で触れている程度だ。

本件の対象は木原氏という公人でなく、私人である婦人である。なので、この事件が進み、判決が出されるまで推定無罪となっている。

そういった考えに基づき、報道しないのなら理解できる。支持もする。

けれど、いままで、もっぱら裁判の判決前に私人を報道してきたことと整合性はとれない。

これは私見だが、新聞が本件を報道しない理由として4つあげたい
1)官房副長官というのは官邸の要らしい。副官房長官の気に障ると、官邸とアクセスが断たれてしまう可能性がある
2)木原氏は財務省出身で財務省にも影響力がある。現在、新聞は、その公益性が認められ消費税が免除されている。報道することで、新聞に消費税が課せられることを恐れている。
3)警察の不祥事を指摘すると、新聞社が警察から今後、事件の情報がもらえなくなってしまう。
4)読売新聞の主筆・渡辺恒雄はいわば岸田総理の後見役であり、読売以外の新聞にも影響力が大きい。新聞社は渡辺氏に忖度している可能性もある。

本件では、当時再調査した捜査員の証言が得られている。退官した佐藤氏は公務員の秘守義務を破るリスクまで負い、記者会見まで開いた。今週号には、当時の再調査の内部文書も掲載される噂もある。

前述のウェーターゲート事件で言った通り、事件の解明には外部からの取材だけでは限界がある。”ディープ・スロート”のような内部からの通報が必須だ。

文春が毎週リリースしている本件は、尻窄みしてほしくない気持ちを持っている。ウェーターゲート事件のように粘り強くやってほしい、と思っている。
















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