東京地検がライブドアへ強制捜査に入ったのは、2006年1月16日だ。
翌日の読売新聞の朝刊の見出しは、「子会社、虚偽の発表」となっている。日経新聞は「買収巡り虚偽公表」、朝日新聞は「虚偽公表の疑い」となっている。
でもサ、これは、まだ捜査の段階でしょう。まだ公判さえ、はじまっていない段階だったのに、どうだろうなぁ、この言いっぷりは。その後も、この調子で連日報道されていたし。煽(あお)っている、といっても、言いすぎじゃないとおもう。
で、時代は下だる。昨秋の、東芝をゆるがした事件についてである。
新聞各社の紙面は、ライブドア事件に比べ、ぜんぜん刺激的な見出しにはなっていない。
本文さえ「虚偽」や「粉飾」という言葉は見当たらず、「不適切会計」や「会計不祥事」という、おさえた言い方になっている。
ま、東芝には東京地検が入らなかったということも、たしかにあるけれど、それにしても、このちがいは、なんだろうなぁ。
2009年6月の郵便不正事件など、もっと、ひどいね。
裁判の結果、厚生省の村木厚子さんは無罪(どころか捜査員が証拠のフロッピーを改ざんしていた)にもかかわらず、新聞各紙の見出しは、まるで犯人を思わせる書きぶりである。
見出しを列挙してみよう。
「厚生省局長 聴取へ 元上司「報告受けた」」(朝日新聞 6月14日 朝刊)
「厚労省局長を逮捕 証明書偽造の疑い 部下に発行催促か」(同 夕刊)
「敏腕キャリア なぜ」(同 夕刊)
「偽証明書「忘れるように」 係長「交付後言われた」」(読売新聞 6月16日)
「厚労省局長を逮捕 偽証明書作成 部下に指示容疑」(同 6月15日 夕刊)
「厚労省局長を逮捕 大阪地検 偽証明書作成の疑い」(毎日新聞 6月15日)
「郵便不正の闇なお深く」(同 6月16日)
ただし、6月15日 の毎日新聞のみ、「やっていない 確信 逮捕前 疑惑を否定」という見出しで、本人に取材した記事を掲載しているね。