江戸時代後期、江戸をはじめ全国で疫病が流行った。
コロナでなく、コレラである。
とうじ日本では、いろいろな呼び方があったようだけれど、コロリなら耳にしたこともあるのではないか。
ちなみに、コロリ禍のなか、勝海舟や福沢諭吉らは咸臨丸で渡米した。船中の劣悪な環境を思うと、蛮勇とも言える行動だ。
江戸より先、コレラはロンドンで流行した。
その際、医師であったジョン・スノウは、コロナに罹患した家庭を一軒一軒調査し、原因は当時のロンドンの水系にあり、ポンプの使用の禁止を訴えた。
スノウは現在「疫学の父」と尊称されている。
一方、疫学、つまり統計を取り、そこから判断する方法は、残念ながら、当時の日本人からは出ていない。
明治に入り、日本で再びコロリが流行ったとき、「井戸の水は飲まないこと」が推奨されているが、独自に統計を取り発想したのではなく、おそらくこれは、洋書の翻訳からの受け売りだと思う。
現在、データサイエンスが人気でしょう。でも、日本人ってデータの扱いに馴染めない気が、しなくもないんだよねぇ。