「ブランド論」

「ブランド論」(デービット・アーカー/ 阿久津聡 訳)を読んでいる。

きのうブランドについて、貸借対照表を援用して書いてみた。

このアイデアは、じつは本書の言うところの「ブランド・エクイティ」が糸口になっている。

コピーライターの大先輩、梶祐輔さんの著作でも同様のことが書かれていて。梶さんも、本書を参考にされたのではないかと思っている。もちろん、これは推測である。

「ブランド論」の第6章「機能的便益を超えて」を、引用&要約しておこう。

ともすると、ブランド戦略として、製品の属性と機能面を重視しまいがちだ。ユーザーは、いつも合理的な判断をしていると思っているからだ。ユーザは合理的とは言いがたい。戦略を立案する上で、違う視点が求められる。

1)情緒的便益

「情緒的便宜とは、そのブランドの購入者または使用者が、購入プロセスや使用経験において何かを感じるようにさせる能力に関するものだ」(P92)

「最強のブランド・アイデンティティは、情緒的便益と機能的便益を併せ持つ。この主張を裏づけるものに、スチュアート・アグレスによる研究がある。彼は、シャンプーの機能的便益(豊かでボリューム満点の髪になります)に、情緒的便益(見た目も気分も最高になります)を付け加えると訴求力が増すことを実験室実験によって示した」(p93)

2)自己表現便益

人は商品を通じて自己投影する。商品も同様だ。「特定のブランドを愛好し、憧れ、話題にし、購入し、使うこともまた、実際の自分や理想化された自己イメージを表現するための手段とする」(P
94)

例:アップル製品を使えばクリエイティブになれる等

3)社会的便益

「ブランドは、人を社会的集団に所属させることができ、したがって、社会的便益をもたらすことができる。「このブランドを買うとき、または使うとき、私は〇〇○タイプの人たちが仲間である」ー社会的便宜は強力である。というのも、自分のアイデンティティや所属という感覚ー非常に根源的な人間の原動力ーをもたらすからだ。ほとんどの人には社会的な居場所が必要である。それは家族かもしれないし、職場のチームや趣味の仲間かもしれない。この社会的な参照点こそが、その人を定義づけ、その人がどのブランドを買い、使い、評価するのかに影響を与える役目を果たす」(p95)

「情緒的便宜、自己表現便益、または社会的便益となり得る候補を見つけるにはどうすればいいだろうか。一つのやり方は、最もロイヤリティの高い顧客の経験に注目することだ。ほぼ間違いなく、彼らは機能的便益を超える経験をしたことがあるはずだ。その内容を知ったうえで、その経験をさらに広い顧客層へと拡大できるか可能性を探ればよい」(p98)