すずの描く救い

「この世界の片隅に」は、とてもよかった。またみたいくらいだわ。

この映画について書かれたものではないけれど、映画から受けたメッセージとして、ど真ん中のことばを見つけることができた。引用させていただこう。すずにとっての描くことの意味を、まるで、このことばが解説しているようだ。

「全体状況が暗くても、それを自分と分けて考えることも必要だ。

僕も自分なりに満足できるものを書くとか、飼い猫に好かれるといった小さな満足感で、押し寄せる絶望感をやり過ごしている。

公の問題に押しつぶされず、それぞれ身近なものを一番大切に生きることだろう」

(「8.15からの眼差し」吉本隆明 / 日本経済新聞 2011年8月15日号掲載)