司馬さんの歴史小説

 

司馬遼太郎の作品が大好きで、だいぶ読んできた。その上で、言ってみよう。

司馬史観という言葉があるそうな。言葉だけ知っており、それが何を指すのか知らない。調べるのも、ああ、めんどうだ。

ただし、司馬さんの歴史小説には特長があると思う。ひとつは、坂本龍馬のような人物が歴史を変えるという書き方だ。たとえば、トルストイの「戦争と平和」(ピエール)や島崎藤村の「夜明け前」(青山半蔵)のような、普通の人が歴史とどうか関わってきたかというアプローチはない。

それと、もうひとつ。司馬さんは、時代時代の日本は違う、という見方をしていらしたように思う。鎌倉時代は鎌倉の、明治時代は明治の、そして(小説では書かれていないけれど)第2次世界大戦は、その当時だけ別の国になったような。そんな描かれ方をされていたように思う。

ところで、時間があったら、万葉集や古今和歌集を読んでみたいと思う。ゆいいつ知っている古歌は、小倉百人一首にも選ばれている、紀友則の「久かたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ」である。この心情は分かるよ。数百年前に読まれた歌だぜ。