じつは村上春樹の長編小説は、二編以外、すべて読んでいる。
まだ読んでいない、その一冊は最新作の「騎士団殺し」だ。
書店に立ち寄ってページをめくってみたものの、以前とちがい、どうも前向きに読む気になれない。
参考までに、Amazonの評価をチェックしてみても、いままでのように評価数は多くないし、評価もイマイチの印象である(Amazonの評価は、じゅうぶんに広告的だネ)。
「騎士団殺し」の前の長編は「多崎つくる」でしょう。
「多崎つくる」はとても好きな作品で、ひょっとすると、個人的に大切なストーリィかもしれない。
ま、それはさておき、4年前の「多崎」と、ことし発表された「騎士団」のあいだに、なにがあったんだろう。
ひとつには、ネットのおかげで、可処分時間(つかえる時間)が減ってきている、ということ。とくに、ここ数年、ネット上の映像をみる機会が増えてきている。言うまでもなく、映像を見るにはかなりの時間を費やしてしまう。このような環境で、上下二巻の「騎士団殺し」を読み切るのは、とてもおもしろいか、あるいは筋金入りのハルキストではないか。
で、もうひとつの理由ネ。それは時代のモードが変容してきているからだとおもう。村上春樹、そしてスタジオ・ジブリの作品が、かならずと言ってよいほどヒットしてきたのは、なんていうんだろう、昭和、平成の空気感がダマのように、ふくらんでいたというか、ま、そのような雰囲気があったわけ。それが、いま、しぼんできているんだわ。