マスメディアの独占が終わる

メディアによる印象操作は、SNSの台頭により大きな転換点を迎えている。その象徴的な出来事として、4日後に行われる兵庫県知事選に注目している。

私は兵庫県民ではないが、現職の斎藤知事については「パワハラ知事」「おねだり知事」という印象を持っていた。しかしそれは、主にテレビや新聞による報道から形成された印象であり、SNSやYouTubeでの情報に触れることで、その一面性に気づかされた。

このようなメディアによる印象操作は決して新しい現象ではない。15年前、当時の厚生省局長だった村木厚子氏は郵便不正疑惑で全国紙の一面を飾った。結果は無罪であっただけでなく、検察による証拠改ざんまで発覚した。19年前の「ライブドア事件」でも、捜査機関による強引なストーリー作りと、それに追従するメディアの過熱報道が見られた。家宅捜索という捜査の一過程が、あたかも有罪が確定したかのように大々的に報じられたのである。

しかし、15年を経た今日、情報環境は大きく変化した。新聞やテレビの影響力が相対的に低下する一方で、XやYouTubeといったSNSの発信力は着実に増大している。今回の兵庫県知事選で斎藤氏が勝利すれば、それは単なる選挙結果以上の意味を持つだろう。既存メディアが形成した「レッテル」を、新しい情報プラットフォームの力で覆した象徴的な事例として記憶されることになるのではないか。

この知事選の結果は、変容する情報社会における、私たち市民の情報リテラシーが問われる試金石となるに違いない。