「ロビンソン漂流記」は、イギリスのデフォーによる。
デフォーと同時代の作家は、日本では、たとえば近松門左衛門 ということになる。
「ロビンソン」を読んでみて感心するのは、ロビンソンの孤島での、その暮らしぶりの描写だ。
大塚久雄は自書のなかで「そのモデルは、いたのではないかと」指摘しているけれど、
いずれにせよ、ロビンソンがじっさいに書いたような書きっぷりは、たいしたものだとおもう。
著者のデフォーの力量を認めないわけにはいかない。
もうひと感心することがある。
おおよそ350年前に書かれた小説のなかの主人公は、合理的に考え行動する。少なくとも小説が書かれた350年前には、合理的な人物(人物像)が存在していただろう。
日本の元禄時代を代表する人物として近松門左衛門のほか、井原西鶴ががあげられる。西鶴の著作にも合理性が感じられるけれど、で「ロビンソン」のそれに比べると、ぼんやりしている。