既得権益の壁を越えよう!

これほど閉塞感にさいなまれているにも関わらず日本はなかなか変われない。

その要因は特定の団体が長年にわたって築き上げてきた利益や立場を手放そうとしないからだ。このような既得権益は社会の様々な層に存在している。

従来、このような既得権益に対して左派が対抗勢力として存在していると考えられてきた。しかし現状をみると実はその図式は成り立っていない。例えば労働組合の「連合」は大企業の従業員を代表している。その一方で中小企業や、派遣社員・パート・アルバイト・フリーランスといった立場の人たちは取り残されている。

こうした既得権益の構造は、情報伝達の中枢を担うメディアにも及んでいる。特にテレビや新聞は既得権益を守る立場にあり、新しい動きに対して批判的な傾向がある。これらのメディアは政府や大企業がリリースした情報を主に報じており、とりわけ警察や検察からのリーク情報を大きく取り上げることで、警察や検察に有利な世論が形成されていく。

このような報道姿勢は、容疑者を犯罪者のように印象づける偏向した情報操作につながることがある。結果として、新しくチャレンジする人が減少し、社会の機会損失が生じている。つまり、テレビや新聞が影響力を持ち続ける限り、既得権益は温存される構造になっているのだ。

しかし、この一見絶望的な状況の中にも変化の兆しがある。それが、YouTubeやX(旧Twitter)といった新興メディアの台頭だ。これらのプラットフォームはもともとアメリカの企業が運営しているため、日本の既得権益のバイアスがかかりにくい。さらに、個人でも容易に情報発信ができるため、多様な視点や意見が共有される可能性が高い。

一方で、従来型のテレビや新聞は特に高齢者に親しまれる媒体であり、高齢化が進む日本社会において依然として大きな影響力を持っている。高齢者層は比較的豊かな資産を持ち、充実した社会保障を受けているため、現状維持を望む傾向が強い。

この状況を打破するためには、新興メディアの活用促進や、世代間の対話の機会を増やすなど、多角的なアプローチが必要だろう。日本社会が真に変革を遂げるには、既得権益の構造を理解し、それに挑戦する新たな力を育成していくことが不可欠である。