ブロックチェーンのしくみは、むつかしい。概略さえ、つかめない。

こういうときは、じぶんで理解することは、あきらめよう。そして、信頼できるひとの声に耳をかたむけよう。

ぼくにとっての、最先端テクノロジーのガイド役は伊藤穰一だ。MITメディア・ラボ所長もつとめている彼は、親しいひとたちからジョイと呼ばれているらしい。

もちろん、ぼくはネットや書籍をつうじてしか、彼を知らない。けれど、その都度、名字で書くのは、なんとなく、かたくるしい。そこで、いっそ、ここでは愛称のジョイで通そうとおもう。一方的にしか知らないのにねぇ。

 



さくねん8月号の「Forbes JAPAN」の特集は「投資・金融の最先端で何が起きているか」である。

そのなかで、ジョイはブロックチェーンの感想を語っている。

ジョイはインターネットの黎明期からその可能性を見とおし、じっさいに、さまざまな領域で影響をあたえてきた。

インタビュー記事では、まずインターネットの普及を例えに、ブロックチェーンの現状を語っている。

「インターネットの革新性が、メールというアプリケーションの便利さによって理解されたように、ブロックチェーンの技術的価値は、ビットコインの登場によって、広く知られるようになった」(p 33)ただし、

「ブロックチェーンは、基本的な規格すら統一されておらず、技術的なインフラがまだ整っていない。ブロックチェーンの現状を、インターネットに例えるなら、まだプロバイダーができていないのに、米eBay(イーベイ)のアイデアを実現しようとしているようなものだ」(p33)「 インターネットの場合は、TCP/IPやHTMLのような標準化されているレイヤーと、ウェッブアプリケーションのような多様性のあるレイヤーに、明確に分かれている。今のブロックチェーンは、その段階に至る過渡期にあるといえるだろう」(p37)

要は、ブロックチェーンは、まだ黎明期で、昨今のマスコミ等の取り上げられ方は期待過剰というわけネ。ただし、ジョイは、将来的な可能性はとても大きいと言う。

 



 「今後、ブロックチェーンは通貨に限らず、セキュリタイゼーション(証券化)、契約、資産譲渡などあらゆる取引や処理を担う、信頼できる低コストのネットワークとして普及し、抜本的に社会の構造を変えていくだろう」(p33)「かつてインターネットがメディアや広告ビジネスの仕組みを激変させたように、これからはブロックチェーンが銀行、投資家、弁護士、商社、ロジスティックスといったあらゆるアクターにインパクトを与えることは、まず間違いないだろう」(p34)

インターネットが情報系に大きな変化をもたらしたように、ブロックチェーンは信用系に画期的な変化をもたらす。ま、そういうふうに述べているとおもう。ぼくの読み方では、最後にジョイは、ブロックチェーンによる情報の非対称性の解消について、言及しているようにおもう。

「例えば、Googleという検索メディアの登場により、それまでは医者の診断を一方的に信用していた患者が、検索で得た情報をもとにして、医者と相談しながら治療を進めることができるようになった。それと同様に、ユーザーのリスクポートフォリオに合った商品を探す検索エンジンや、AIなどを使って監査法人の代わりに個人に投資先や事業情報を伝えるメディアが誕生すれば、ユーザーも証券会社に一任することなく、自分の資産のマネージメントに参加できるようになるだろう」「人間によるクローズドなトップダウンから、アルゴリズムがチューニングするオープンなボトムアップへ…人の気持ちが市場を動かしていく未来を私は想像している」(p39)