マイクロソフトの株価の時価総額がアップルを抜いて世界一になった。
あるユーチューバーは、その原因をOS( Windows)の優位性としていた。もちろん、この認識はあやまっている。
いまや、マイクロソフトの収入を支えているのはクラウド(Azure)だ。さらに言えば、クラウドに用意されているAI(人工頭脳)の引きの強さである。
グーグルやアマゾンと同様、マイクロソフトもAIを一から構築せずにすむAPIを用意している。さらにディープラーニングを容易にするツールもある。
うまく利用すれば、写真の判別や音声の文字起こしといった手間のかかる作業が、ケタちがいのスピードでできてしまう。これから、おいおい取材をしていくつもりだけれど、通常のデスクワークも同様にできるよ、きっと。
現状まだそうなっていないのは、まずはAIを導入するための知識を持った人が不足しているからだとおもう。
聞くところによると、このような動きはアメリカにくらべ、1周おくれ(2、3年おくれ)しているそうな。本格化はこれからだよネ。
もう1点、対人件費についても指摘しておきたい。
たとえば先に書いたような写真の選別やテープ起こしだけれど、派遣社員、パート、アルバイトがやっているケースが多かったりして。その人件費が、まだ安すぎるんだネ。もっともっと上がり、一方でAIの導入コストが下がってくれば、経営判断としては、必然的にAIを導入するに至るでしょう。
こういう動きは、公務員や会社員の仕事にも関係ある。けれど、前者は法的に、後者は裁判の判例に守られていてる。仕事はない。でも職場はある。こういうかんじ、コトバが見つからないなぁ。すくなくとも派遣社員やアルバイトとの不公平感は募るんだとおもう。ねぇ。
以下、「機械と競争」(エリック・ブリニョルクソン/アンドリュ・マカフィ)からの引用。
「人々がより一生懸命働くから経済は成長するのではない。よりスマートに働くから成長するのである。これは言い換えれば、新しいテクノロジーやプロセスを活用して、労働力、資本、その他のリソースの投入量を増やすことなく、より多くの価値を創出するということである」(63ページ)
「(テクノロジーにより)均衡賃金が労働者にとってある時点で最低生存水準を下回ってしまうのである。合理的な人間であれば、そのような低い賃金での就労は受け入れられない。機械が代わりにやろうとする。賃金が最低生存水準を上回っている場合でも、テクノロジー失業は発生しうる。それは技術の進歩により自動化のコストがハイペースで下がっていくのに対し、賃金は下方硬直性があるため、なかなか下がらないからである。最低賃金法、失業保険、健康保険、現行賃金法、長期雇用契約など、どれも、賃金の急速な阻害要因として働く」(74〜79)