法人化には、いくつかのメルクマールがある。
ひとつの旗印として、売上げ規模というのがあるでしょう。
たとえば法人なら法人ならではの必要経費が認められるから。
有限会社 鶴巻事務所の場合は、事情がちがった。
当初、大手電機メーカーとは、フリーランスのコピーライターとして取引していた。
けれど先方から、「個人では困る」とかなんとか言われまして。で、法人にしたんですねぇ。
ま、そういう経緯もあり、いつのまにか、ウチの取引口座で広告制作をまとめて受注し、
(個人では取引口座ができない)フリーのデザイナー、イラストレーター、カメラマンに仕事を割り振ったり、報酬を支払っていたわけネ。
手形を処理する際には、引き受けを依頼していた信用金庫の部長さんが、わざわざいらして、「設備機器を入れる予定があるなら、なんとか、ひとつ」とか、おしゃってサ。
電子部品を製造する会社と勘違いされたりして、あのときは、ちょっと、おもしろかったわぁ…って、あっ、不謹慎でしたか、すみません。
えーと。ハナシが脱線してしまいましたか。法人についてのハナシでしたね。
有限会社 鶴巻事務所における仕事の図式は、こんな感じなのであった。
図に書いたように、仕事やお金の流れは一方的だ。
で、この「一方的」には常々、思っていることがあったりして。
急に大上段な話題になるわけネ。
工業化社会というのがある。それは文字どおり、主に工業製品を作る社会である。
工業製品の製造は、上流から下流へとラインを流れてゆく。
商品の流れも似ていて、メーカから卸し、小売りへと流れてゆく。
情報については、テレビ番組ならテレビ局から視聴者へ、記事なら新聞社から読者へと一方的に流れていく。
仕事も流れも、会社なら社内で、下請け、孫請けならクライアントから一方へと流れていく。
というわけで、工業化社会というのは「一方的」というのが、キーワードなわけネ。
で、工業社会に対して、50年以上まえ、アルビン・トフラーの「第三の波」よりはやく、情報化社会を唱えた方がいらっしゃる。梅棹忠夫先生だ。
ただし工業化社会まっただ中の予見なので、情報化社会を担うツールまでは、触れられていない。
情報化社会を担うツールって、なんだろう。いまなら言えるネ。ずばり、インターネットである。
インターネットの隠喩は、「一方的」を特徴とする工業社会のそれとは異なる。
分散的であり、シェアである。
なので先で示した手書きの図式は、必ずしも有用ではない、というかズレている。
情報化社会が主役になるなか、つぎのように書きかえてみたりも、したくなる。
クライアントは、プラットフォームに仕事をリクエストする。
そして、そのリクエストをみたコピーライターやデザイナーたちは条件をみて応募する。あとは折り合いがつけば、仕事をすすめてゆく。
こういうやり方は、やはりプログラミングが先行していて。たとえばGitHubを利用したオープンソースでの開発なんか、そうだわネ。
ま、広告制作や、そのほかも、こういうイメージになっていくと思う、というか、一部、もうなっているけれどサ。