コピーライターにとって取材は企業から依頼されものであり、
そして、その内容は新聞や雑誌に載せるためのものである。
しかしウェッブの存在はとても大きく、旧来の媒体は相対化されていった。
言い方を変えれば、いままで他に変わるものが存在しなかったため、既存の媒体は空気のように当たり前だったわけ。
ぼくたちは、取材をどのように変容させ、とらえてゆけば良いか、深い霧の中を、さまよいはじめた。
コピーライターどうし、昼食をとちながら話し合いもしたし、折をみて、糸口になりそうな書籍を読んだりもした。
「サード・ドア」(アレックス・バナヤン)に出逢えて、よかった。
本書は、アメリカの青年が、ビル・ゲイツなど、いわゆる偉人たちにインタビューを試みる、ドキュメンタリである。
当時は、まだ大学生の、インタビュー未経験者が、そのために行動する姿は、なかなか興味深い。
参考になったのは、ビル・ゲイツにインタビューするために、関連書籍を読みあさり、アドバイスを請うために様々な人にアプローチしいていることである。
とりわけ、偶然に出逢えたラリー・キングからの金言とも言えるアドバイスは大きな収穫である。
で、それについて、敷衍(ふえん)して考えてみた。
取材というのは(新聞や雑誌に載せるような)目的ではなく、過程である。極論すれば、テーマについて調べること、人に聞く過程が、すでに取材である。
ぼくが取材という切り口で本書から得たものは大きい。
しかし、たとえば当時の筆者と同じ年くらいの20歳くらいの人が読めば、また違う収穫があるのではないか。