「ストーリィで伝えるブランド」(デビッド・アーカー/阿久津聡 訳)からの抜粋。備忘録として。任意に改行しています。
「デジタル時代の主役はコンテンツであり、コンテンツのカギはストーリにある。
ソーシャルメディアの受け手は受動的ではなく、みずから主導権を握っている。
受け手は受動的ではなく、みずから主導権を握っている。受け手がメッセージに関わろうとするのは、コンテンツに興味を覚えるときだ。この時代にはコンテンツが成否を分ける。そして、そのコンテンツの本質はストーリなのだ。
事実だけでは、いかに説得力があっても、混み合ったメディア環境の中で際立つために必要な注目や反応を獲得することは稀である。ストーリィがあれば、あらゆるノイズ、無関心、コンテンツの氾濫を突き破って受け手の注意を引くための道ができる。「こんな話があるんだけれど」と言われれば、誰もが耳をそばだてるものだ。ストーリィは事実の羅列よりもはるかに興味を引きつけやすく、注意を持続させ、記憶まで残りやすい」(p10〜11)
「シグネチャーストーリは詳細でなくてもよく、網羅的である必要もない。受け手にある程度の余白を埋めてもらうことに期待してかまわない。
むしろディティールの一部を想像に任せることは、受け手を引き込む効果的な方法となりうる。(中略)
文豪アーネスト・ヘミングウェイは、6つの単語で小説が書けるか、という賭けに勝ったことがあるという。伝えられた話によれば、ヘミングウェイはその”作品”ー「赤ちゃん用の靴、売ります。未使用(For Sale: baby shoes, never won.」ーを非常に気にっていたそうだ。読み手は細部を埋めることができる。赤ん坊の死、靴を売り出した母親の姿と悲哀、あるいはその靴を買う別の母親の喜びを。」(p26〜27)
「多くの人は合理的な意思決定を行わない。そのことは、ダニエル・カーネマンをはじめとする行動経済学者らによって立証されている。たとえば、人は保険に関する意思決定をする際、潜在的な損失と、確率の低い出来事を課題評価する。(中略)このような判断には合理的な理由がない。多くの研究が同様のことを立証している。
受け手が合理的で、動機があるという場合でも、事実は退屈と思われるだけで、記憶に残りにくいかもしれない」(p86)