おうおうにして、製品をつくるメーカーと、その製品をつかうユーザーの感想にはズレがある。
コピーライターは、そのズレに、どう対応するか強いられる。
こういうことである。
メーカー側の担当の方からは、社内の打合わせで意見が集約され、コピーライターに「こういう内容で、ユーザーに取材してください」と、まぁ、こうなる。
しかし(とうぜんなんだけれど)ユーザーは、メーカー側ではないので、メーカーが求めるような内容を聞くことはできない。
コピーライターにとって、ナイーブな問題である。
じっさいに、ユーザー側の内容をまとめて、「じつは、こういうかんじでした。思うような感じにはなりませんねぇ」的にやったこともあるけれど、
どうも、これが、うまくいかないんだなぁ。「なんとか、こういう感じになりませんか」というふうになる。
取材をまとめた原稿のやりとりについては、メーカーの担当者と直接やりとりすることはすくない。
ライターは代理店的なポジションの人とやりとりすることが多い。なので、中に入っているひとが、忖度し(そんたく)して、そう言っているのかもしれない。
もしそうでなくとも、発注元であるメーカーの担当者にとって、すでに打ち合わせで決まっていることであるし、あるいは、
上司への報告を、これまた忖度して、そうなっているのかもしれない。
ま、いずれにせよ、この壁はブ厚いのである。
妥協案として、いまのところ、こういう方法しか思いうかばないし、じっさいに、そうしている。
ユーザーにとって、メーカー側から聞きたいことは、ふつうに生活している全般からすると、ほんの一部かもしれないし、あるいは、まったく考えていないだろう。
なので、一般的な聞き方をするわけである。「こういう意見があるんですが、どうなんでしょうねぇ」という感じだ。
で、肯定的ならそう書くし、否定的なら、そう書かない。どちらにしても、ユーザーの発言として、こちらでストーリィをつくることになってしまう。
なので、取材させてもらったユーザーに原稿をチェックしていただくさいには、「いちぶストーリィをつくっています」ということを、かならず伝えてもらうようにする。ま、これがギリギリの線なんだなぁ。ほかに方法があるなら、どなたかご教示ください。