村上春樹ファンである。新作を読みたいけれど、時間がとれない。
「騎士団長殺し」というタイトルは、やや違和感がある…かな。
そもそも騎士の印象になじみがない。「リボンの騎士」や、そうだなぁ、ベイルマンの「第七の封印」くらいしか、思い浮かばない。
「第七の封印」といえば、その背景は十字軍の遠征でしょう。
十字軍も、われわれ日本人には縁遠い…よね?
ただ、幸運にも、中世ローマについての司馬遼太郎ともいえる、博識の塩野七生さんが著書を残している。「十字軍物語」である。
日本人にとって、中世のカトリックの影響力など、これまた想像もおよばないけれど、
本書によると、どうやら当時のローマ法王は、一国の国王の後継にまで口出しできたらしい。
それを無視した国王もいる。神聖ローマ国王ハインリッヒだ。その結果、ハインリッヒはカトリックを破門になり、ローマ法王が滞在していたカノッサの雪の降る城外で、素足で許しを乞うた。いわゆる「カノッサの屈辱」である。
この種の恨みは残るらしい。しかも、いちおう権力の座にある国王に対してだからねぇ。この屈辱以来、国王ハインリッヒはローマ法王を追求し、以後の歴代の法王は地元のローマに居住できず、各地を転々とする。
この状況を一転させようとしたのが、若きローマ法王ウルバン二世である。ウルバンは法王の威厳を示すために、当時、イスラムにより侵略されていた聖地奪還を各地の諸侯に呼びかける。諸侯たちはコンスタンチノーブルに結集し、東方に遠征する。これが十字軍遠征のはじまり。
あれ、村上春樹から十字軍に話が行ってしまったぜ。なんだっけ。あ、そうだ。騎士団でつながっていたのか。