「ロビンソン漂流記」は、ロビンソンがカリブの孤島に流され、数十年ものあいだ、自活する物語だ。
まずロビンソンは、孤島に着いた自分の状況の貸借対照をノートにしたためる。たしかに悪い状況だが、その一方では良いことがバランスしているといったふうに。
そのうえで、ロビンソンは難破した船から持ち出した麦や米をまき、食料とする。そして余ったぶんは種として計画的に保存し、翌年以降の食料とする。
野生のヤギは食料以外は繁殖させ、やはり翌年以降に備えている。
オレなんて、こういうことは、さりげなく読んでしまうけれど、社会学者の大塚久雄先生によると、こういうイメージはふつうではないようだ。
歴史的に、世界の多数は、もっとあらっぽく、投機的でどんぶり勘定的なものらしい。むしろ「ロビンソン」の持つ合理的な世界観は、作者の国であるイギリス、あるいはアメリカのニューイングランド(だったかな?)に偏在した特殊なものだったみたいだけれど、
ま、しかし、この当時の特殊な世界観は、げんざいでは当たり前のようになっている。