スティーブン・ピンカーの「暴力の人類史」を読んでいる。
近年になれば、なるほど、暴力による死者数は増えているような気がする。
しかし、本書では、むしろ減少していることをデータに基づき示されている。
たとえば、中世ヨーロッパの大査問や魔女狩りによる死亡率の方が高かったりする。
たしかに、第2次世界大戦や第1次世界大戦による戦死者数は、ずば抜けて高い。
しかし1世紀単位で示される減少する暴力死の直線の、この2つだけ、2つの点として、ぴょんと上にプロットされている。
要は、2つの大戦は例外というわけ。
なぜ減ったのかというと、本書では、権利、公平、フェミニズムといった概念の浸透だとしている。
なんて言えばよいか言葉がみつからないけれど、これって、外的のことなんだよねぇ。本書では、こころの持つ利他性など、ひとの内面の可能性については懐疑的だ。
権利や公平といった概念は、いかにも西欧的だし、しかも、ひとの内と外を線引きしてしまうのも、やはり西欧っぽい。
個人的に、利他性については、たとえば東洋人のダライ・ラマの持論を支持していたりする。