米英仏のミサイルがダマスカスの化学兵器に着弾したようだ。
ダマスカスという地名は「アラビアのロレンス」を思い出させてくれる。
イギリス人連絡将校であるローレンスは、アラブ系遊牧民・べトウィン族の状況を偵察する任務を負う。
おかしいのが、偵察の任にありながら、べトウィン族の首長の許可のもと、同族を引き連れアカバを陥落させてしまったことだ。
イギリスにとってアカバは、敵国トルコの要地なので、結果的には同国の利にかなっていたわけだけれど…でも「オイオイ、そんなことまで指示していないぜ」といったかんじ。
アカバでは、イギリスの戦艦にそなえて、海洋に大砲が向けられていた。まさか、後方に延々と広がる砂漠地帯から攻められるとは思ってもいなかったんだね。で、ロレンスは、そこに奇襲をかけたわけ。
余談になるけれど、このことは司馬遼太郎の「坂の上の雲」を想起させる。
ロシア軍の要地である旅順港では、日本海軍に備えて大砲が海に向けられていた。児玉源太郎は、その裏をかいて、陸側の203高地より砲弾を浴びせたんだ。
ローレンスは、アカバを陥落させたあと、最終的にはアラビアの部族たちを結集させ、ダマスカスを陥落させてしまう。
ローレンスも、首長の代表であるべトウィン族の首長も、そこにアラビアの連合国を作ることを目標としていた。
しかし、それぞれの利益を主張する部族はまとまらず、しかも秘密裏に、イギリスとフランス両国のあいだでは「サイクス・ピコ協定」が結ばれていた。
この協定の名は、歴史の教科書よりむしろ、この映画により知られるところが大きいと思うし、そもそも長年の民族のいさかいが、ミサイルで解決するとは思えないのだが…