村上春樹の「多崎つくる」には、高校時代の仲の良い5人組みが設定されている。

名前は、色を含んだ苗字で、それぞれが、アオ、アカ、クロ、シロというふうにアダ名で呼ばれている。ただ、主人公の多崎つくるだけは、色の名前はついていない。

5人は高校時代、彼らはぴったり寄り添い、完全に調和していた。卒業後、アオ、アカ、クロ、シロは地元名古屋に残り、つくるだけ東京に上京したが、彼らの蜜月ぶりはしばらく続いた。がしかし、ある日突然、つくるは仲間たちから阻害される。

当時、つくるのショックは大きかったが、その原因を探らない。そのうち鉄道会社に就職する。沙羅という女性と付き合う。彼女はメンターのような存在だ。「それは放っておけない重要な問題よ」と指摘される。つくるの仲間たちの現在も調べる。アオはレグサス(トヨタ)に勤務している。アカはスピリチュアル系の企業を経営している。クロは結婚してフィンランドにいる。そしてシロは。。。何者かによって殺害されてしまったというショッキングな報告を受ける。

つくるはアオとアカに会う。そして、大学時代にいきなり無視された原因は「つくるがシロをレイプしたからだ」という説明を受ける。がしかし、つくるは潔白だ。仲間たちも「いま振り返ると、シロは精神が病んでいた気がする」という。

当時のシロの実情を知っているのは、同性のクロかも知れない。つくるは、そのことを知るためにクロに会うために、フィンランドまで行く。そして、その経緯をクロから直接聞き、つくるの心は癒やされていく。ふたりはリスト「巡礼の年」を聴く。

気持ちの問題は、原因 / 結果という図式的なものでなく、時間をかけてストーリを作れるかどうかにかかっている。個人的には、そういう読み方をしたね。

ところで、つくるは、人や物事と距離を置く性格だと思う。なのに、他者を傷つけ、さらに自分自身も傷を負うような所がある。本小説で「どこか別の場所で、他の時間性で」と書かれているように、無意識のつながりが他者を傷つけているという。