「通販生活」の商品の取材記事を読むのは、たのしい。

そのほかの、ユーザーに取材した記事は、ほぼほぼ、つまらないし、じぶんが書いた取材記事など、まったくもって、納得がいかない。

では「通販生活」の充実ぶりは、どこから来ているのか。

その秘訣を、同紙創刊者である斎藤駿さんの「なぜ通販を買うのですか」を読んでいて、知ってしまったかんじがする。

本書のキーワードは「使用価値」だ。商品は商品自体に価値があるのではなく、買い手にとっての使い方に価値がある。ま、そんなかんじかな。

で、デロギンヒーターの使用価値を伝える方法として、つぎのような文章に出会ってしまった。以下、抜粋させていただこう。

「この世で、私以上にこの道具に惚れこんでいる消費者はいない・・・と心底信じている人は、ぜひ名乗り出てください!」
右のアンケートを7点の暖房機器購入者5万人に発送、名乗り出てくださった方々に取材しました。その選考結果が次の7人の <ピカイチ消費者>です。
[デロンギヒーターの巻]
われこそはデロンギのピカイチ愛用者なりと申し出てくださった(以下省略)」(141ページ)

そうなんだ。「通販生活」は、「われこそは」というピカイチ愛用者をえらび、使用価値をかたってもらっていたのである。

ひるがえして、一般的な取材はどうだろう。こちらは「われこそは」ではないユーザーに取材をしているわけである。

とうぜん、そのユーザーは、ふだんから、その商品をかんがえているわけでなはない。取材という機会をつくってしまったために、取材を受ける方は「なにか、言わなければならない」し、取材する方は「なにかを言ってもらわなければならない」というふうになる。さらに取材する方は、広告主から「これを聞いてきてください」的な注文を背負っているという、いわば、暴力的なシチュエーションになっている。

これじゃあ、おもしろい記事になるわけないよなぁ…