「広告回会社は変われるか」を再読している。
テーマはタイトル通りであり、論旨が通り、僕にとって参考になる示唆もある。
出版は2007年だ。本書の中では広告を取り巻く将来の予測が立てられている。
ただし他の「将来どうなるか」的な本がそうであるように、本書の予測も外れている。
本書では既存のメディアとインターネットが融合し、ひとつの「e-プラットフォーム」になっていく予想がなされている。
しかし本書が出版された15年後の現在、そうはなっていない。
ちなみに「ライブドア事件」は2004年の出来事だ。
当時からホリエモンは「テレビとネットの融合」のビジョンを持っていて、実際にフジテレビを買収し、ライブドアとの相乗効果を図ろうとしていた。それから20年経っても、メディアとネットは融合していないことになる。
なぜそうなのか、興味深い問題であるが、本題から外れてしまうので、ここでは触れない。
そのような大きな文脈でなく、本書がどうして予想を外してしまったのかという点について書いていく。
ひとつは著者が、2011年のテレビ地上波のデジタル化を大きく捉えすぎている点にある、と思う。
それは(誰でもそうだけれど)著者が今まで生きて来た文脈の中で、とらえていることが遠因になっている。
たとえば逆にネットから入った世代にとって、地上波のデジタル化は、それほど大きなトピックではないのではないか。
もいひとつは、本書では高齢者という視点にまったく触れていない点にある。
高齢者は岩盤と言っても良いくらい保守的で、従来の習慣を変えることはできない。
なのでいくらネットにイキオイがあっても、あいかわらずテレビを見続ける。しかも日本全国での高齢者の比率は年々上がっている。しかも一般的に若年層に比べ高齢者はお金を持っている。
人数が多く、お金を持っている層なので、広告媒体としてのテレビの存在は相変わらず有効となる。したがってネットとは、なかなか融合しない。