村上春樹の「騎士団長殺し」は、おもしろい。けれど(失礼ながら)さすがに、最盛期を越えているかんじがする。
個人的には「海辺のカフカ」、そして「1Q84」が好みだったりする。
深沢七郎も好きである。知らないひとも多いだろうか。「楢山節考」の作者と言ったほうが、なじみがあるのかもしれない。
深沢七郎は、たとえば夏目漱石より下る時代の人だ。
なのに深沢の作品は、漱石よりも以前の、近世、いや中世の雰囲気が、たゆたっている。自身、「今昔物語」を愛読されていたようだ。
村上春樹の小説にも同様の匂いがする。
じっさいに「騎士団長殺し」では、上田秋成の作品がキーワードになっていて。
上田秋成といえば、本居宣長と同時代の人だが、作品は江戸中期よりさかのぼり、やはり中世が舞台になっているものが多い。
すぐには思い出せないけれど、そのほか、村上春樹の作品には日本の中世の小説を思わせるものが、少なくない。
翻訳を手がけたり、ともすると村上春樹はアメリカ文学の人だと思われるかもしれない。
でも、かなり、日本の古典を読み込んだ時期があるんじゃないのかねぇ..そんな気がするよ。
たしか、お父さんは国語の教師をされていたような。