ウォータゲートに入居していた民主党の選挙本部に、数名の侵入者があった。
侵入者は元CIA職員だった。
ワシントン・ポストのボブ・ウッドワードにその情報が入った経路は、「大統領の陰謀」と「ザ・シークレットマン」では異なる。
前者は、ウッドワードが本件の裁判に出向き、入手したことになっている。
後者は、FBIから情報を得たことになっている。
FBIといっても、このばあい、FBI副長官から秘密裏で得た情報である。
そして、この人物こそ、ウェーターゲート事件のキーマン、いわゆるディープスロートであることは、いまや定説である。
なぜ秘密裏で、情報を流出させたのか。
この事件と前後して、FBIを創設し、大統領が変わっても、なおその座に居つづけたエドガー・フーヴァーが死去する。
これを機に、ニクソンは政権のスタッフをFBIに送り、臨時の長官とする。政権は内部情報を入手し、さらには、この事件を早期に打ち切るように圧力をかけてゆく。
このような背景もあり、FBIの念持を持つ副長官は、ワシントン・ポストに故意に情報を流出させた。
で、ディープスローからの情報をたよりに、ワシントン・ポストのウッドワードと、カール・バーンスタインは、情報の点と点を線で結び、線と線を結び全容を立体的にしてゆく。
いちおう、概略を書いておこう。
選挙の寄付金は選挙で利用される。しかし、ニクソンのスタッフは、寄付金を、相手の民主党の諜報活動に使用していた。ウォータゲートの侵入犯に流れたお金は、その一部に過ぎなかった。
そして、その資金を仕切っていたのが、ニクソン政権の重要人物・前司法長官ミッチェルや大統領補佐官ホールドマンだった。
その事実が明るみに出ないよう、彼らは,ワシントン・ポストやFBIに圧力をかけた。組織そして個人宅まで、盗聴までおこなった疑いさえある。
げんざい、日本では、桜を見る会が問題になり、アメリカではウクライナ疑惑によるトランプの弾劾手続きが進められているでしょう。
ウォータゲート事件当時の1970年代というのは、いまよりも、マスコミにも捜査機関にも、職業に対する念持があったような気がするんだよねぇ。
個人的には、時代が進むにつれ、社会は良くなってきているとおもう。けれど、気持ちはに豊かさがなくなって来ているような気がするんだよねぇ。