岸田総理が誕生した。特技は人の話をよく聴くことである。宮沢内閣以来、30年ぶりの宏池会の首相となる。
手元に、田原総一朗による故・宮沢喜一へのインタビュー記事がある。
同氏の教養の高さが伝わる内容となっている。
政治・社会・経済の説明が分かりやすく、折をみて読んでいる。
一方、政治家としての宮沢さんは評価していない。
バブル崩壊は同氏が首相の時期と重なっている。
インタビュー記事によると、当局はおろか銀行の頭取まで、不良債権について掌握していなかった。もちろん日本の新聞はどこも書いていない。宮沢さんが、それを知ったのは、イギリスのフィナンシャル・タイムズだったという。
だが、いかんせん、宮沢さんは大蔵省も経団連も乗り気ではないことから、銀行に公的資金を強制的に注入する指示が出さなかった。
要は、いろいろなところに耳を傾け、知っていたのだけれど、実行できなかったという。政治家としての同氏を指示できないのは、この一点にある。
ところで宏池会は保守本流と言われている。
ウィキペディアによると、保守本流とは官僚出身を中心とした勢力らしい。
官僚的な人はその性格上、急激な変化を好まない。
たしかに、ゆっくりとした変化の方が、結果的に、急激な変化よりコストが少ないかもしれない。急激な変化に対し、こぼれた人たちへの財政支出が伴うから。
いや、でも、どうだろう。
不良債権処理は、小泉政権誕生まで待たなければならなかった。失われた10年間という、とりわけ時間損失のコストは大きい。さらに結果的に、非正規社員の増加という代償を払うことになった。
要は、時間を勘案すれば保守本流より急進的な改革の方が良いのではないかというハナシ。