文章で実証するということ

小林秀雄の対談集を2冊再読した。

「人間の建設」の対談者は数学者の岡潔である。

読んでいて理解出来ない所も多々あった。

ただし対談されているお二人には言葉を越えてお互い通じ合っている印象を受けた。

岡さんは意外にも数学の多くの部分を、数式ではなく、文章を書きながら実証していくようだ。

ちなみに、物理学は数式だけで実証していけるらしい。

もうひとつの「直感を磨くもの」は小林秀雄と何人かの方々との対談集である。

三木清との対談の中から引用する。

「論証するには論理でよいが、実証するには文章が要る」(p24)

ここで言う実証とは何だろう? そのヒントは、こちらにありそうだ。横光利一との対談より引用しよう。

「何が書けるか分からないが、もうこの頃は、何が書けるか分からないという仕事しか興味がないのだ。わかり切った事は喋っておればよいのではないか」(p42)

小林秀雄の言うところの書きながら実証するという点は、数式でなく書きながら数学を解くという前述の岡さんの話しと合わせて考えてみたい。 

気づいたことを、お気軽に。
公開まで、やや時間がかかりまーす!