イノベーションのジレンマ

クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」には、いくつもの興味深い視点が紹介されている。

まずは、その中の一つの視点から始めようか。

企業は既存のユーザーの意見を一生懸命に聴く。

その結果、たとえ革新的な技術が出て来てもユーザの要望を優先させるため、その技術には冷ややかである。

たしかに革新的技術は当初はささやかな存在だ。しかし時間とともに旧来の製品のスペックに追いつき、やがて追い抜いてゆく。

一方、既存のユーザーの声を優先させた製品は(ユーザーの声を反映させ余計なボタンを追加させたり)オーバースペックになってゆく。

かくして新規製品にシェアを奪われた、主要製品を持つ企業の財務状況は悪化してゆく。

債務超過になり、資産の売却等を行ない、やり繰りがうまく行かない企業は最悪、倒産だってあり得る。

何と言っても資本主義の中心は企業でしょう。企業の指標となる財務諸表を元に企業が淘汰されていくことには合理性があると思う。

しかし政治・行政は違う面を持っている。

選挙で選ばれた政治家はユーザー、この場合は有権者の声、とりわけ権利団体の声に耳を傾ける。

前述の通り、新しい技術が出てきた場合、政治・行政も「イノベーションのジレンマ」と衝突する。ただし、その場合、資産の売却等の合理化が行われることもなく、巨額の予算から補助金が充てられる。

政治家=>選挙で勝ちたい=>既存の権利団体の声を聴く

官僚=>前例主義(いままでと同じことをやる)

これは政治家、官僚の性(さが)なので、変わりようがない。

じゃ、そうなれば良いのか。

いまのところ宮台真司のいう「加速主義」しか、ないような気がしている。

気づいたことを、お気軽に。
公開まで、やや時間がかかりまーす!