「司馬遼太郎覚書」(辻井喬)を読んだ。2度読んだ。良書である直感があったし、生意気ながら「教養のある人の文章はこんな感じだよな」と思ったりもした。
(なにも、へりくだっているわけでもなく)僕の教養不足もあり、文を追いながら、文字面は追えるけれど理解できない箇所が多々あった。そして2度読み終えて、何が書かれていたのか振り返り、自分の問うてみると「あれ?」という感じだ。
もちろん、本書はタイトルが示すとおり、司馬遼太郎について書かれている。(初めて名前を存じ上げたけれど)新船海三郎さんとの対談を元に本書はまとめられている。
本書では松本清張や三島由紀夫についても紹介されていて。そうなると、清張や三島の本を読んでみたくなる。たぶんに良書というのは、そのような力も持っている。
僕は司馬遼太郎の書籍をだいぶ読んでいいる。偏っている。しらずしらず司馬さんに影響を受けている、と言っても良さそうだ。
一方で、三島は「金閣寺」「青の時代」しか読んでいない。清張については1冊も読んでいない。ただし清張原作の「砂の器」は大好きな映画だ。邦画ベスト3として、あげるかもしれないくらい。
さいきん、コピーライターとしての僕について内省していて。それを追求しているうちに、アートディレクターの石岡瑛子のエッセイに出会った。そこにはご自身が関わられた「MISHIMA」についても語られていた。石岡さんだけでなく、気になる人のエッセイなり何なりを読むと、ときどき三島という言葉に遭遇する。
オッケー、元に戻ろう。
「司馬遼太郎覚書」の著者、辻井喬さんの本名は堤清二だ。ある一定の年齢の人なら知っているだろう、元セゾングループのトップである。
西武百貨店はセゾングループだ。堤さんが現役のとき、コピーライターの糸井重里さんによる「不思議、大好き」「おいしい生活」は生まれた。
PARCOもセゾングループだ。堤さんはこちらには直接関わっていないようだが、石岡瑛子さんのセンセーショナルなPARCOのアートディレクションは言うまでもなくセンセーショナルだった。
無印良品も堤さんの時代に誕生したらしい。
先が見えない時代、堤清二さんから学んだり引き継いだりするものがありそうな気がするが、どうだろう。