正力松太郎関連の本を続けて読んだ。両著とも有馬哲夫氏による。図書館で借りた。今は手元にない。なので記憶でメモ代わりに書いていく。
もともと正力は警視庁に勤務していた。しかし虎ノ門事件により引責辞任した。退官後、後藤新平から資金を得て読売新聞を買い取った。後藤は土地を売却して得たお金の一部で援助している。正力が社長に就任し、読売新聞の発行部数は急増した。
正力は日本全国にテレビの通信網を引く野望を持っていた。これはCIAの思わくに適っていた。まだ生まれてもいないので空気感さえ分からない。書物で知識を得るしかないけれど、当時は共産主義といったイデオロギーに勢いがあり、ソビエトによる工作が盛んに行われていたらしい。松本清張の終戦直後の闇を描いた「日本の黒い霧」も読んでいて。もっとも、テレビの通信網について書かれていないが、長い読書経験の中で同時期を著した本を読むことで、知識の厚みのようなものが出来ていると思う。
話を元に戻す。ソビエトの工作に対し、CIAは日本国民がアメリカに好意を寄せる心理作戦を立て実行していたらしい。そのツールとしてテレビ通信網は有用で、そのことと正力の野望が重なった。朝鮮戦争時、いざとなった時、通信網を軍事用に用立てる計画もあったようだ。
正力はテレビ通信網だけでなく、原子力発電所にも野望を持った。このへんもアメリカの思わくと重なるところがあった。アメリカに続きソビエトも原爆の実験に成功した。アメリカは水爆を実験する。同様にソビエトが追いつく。それに対し、アメリカは方針を転換し、アジアの友好国に原子力の知識や技術を供与した(このへんのロジックが理解できない)。正力とアメリカの思わくが重なったというより、むしろ正力は自身のアメリカとの関係を国内の有力者に誇示し、資金や指示を得ようとしていた感じがある。正力はテレビ通信網と原子力発電を背景に、総理大臣を目指していた(逆に総理大臣になり、テレビ通信網と原子力発電を実現し、自身の力を誇示したかったのかも知れない)。吉田、鳩山、石橋、岸の時代の出来事だ。