よい印象を持つ時代がある。言うまでもなく、その時代を生きていたわけではない。資料の詳細を読み込む能力も時間もない。いままで読んできた小説やノンフィクションが澱が溜まるように残してゆく、そのようにして出来た印象である。
第二次世界大戦時は、どうしても好きになれない。クライ。気が滅入ってしまう。それに対して、幕末から日露戦争には、爽やかな印象を持っている。これは、たぶんに司馬遼太郎を多く読んできた影響だとおもっている。
時代はさかのぼる。そうすると元禄時代に行き当たる。近松門左衛門や井原西鶴は、とても好きだ。「曽根崎心中」は、世界的にみても遜色がない物語だとおもう。
で、次ネ。世界に、ワッと視野を広げてみたら、どうだろう。まずヨーロッパ。
カノッサの屈辱に端を発する十字軍遠征の時代は、いいですねぇ。それと第一次世界大戦前後のヨーロッパ。ヘルマン・ヘッセなど読んでいると、その不安なかんじが、ひたひたと伝わってくるわ。たぶん、それ以前の価値観が崩壊していった時期だったんじゃないか。
アメリカは、なんと言っても、ベトナム戦争の時期だ。60年代の後半から70年代はじめになるのかな。リチャード・ブローティガン、フラワーチルドレン…アメリカの「古き良き時代」が終わり、余裕のあるアメリカの終わりの始まりの時期だとおもっている。ちなみに、げんざいのトランプ政権下のアメリカは、終わりの終わりダネ。
ま、つらつら、書いちまったけれど。こうみると、時代の変わり目というのは、おもしろいし、それ以前に、その時期だからこそ、おもしろいストーリィが生まれるような気がしてきたわ。