かつて、コピーライター・ブームがあった。
ブームというくらいだから、コピーライターに熱気がある時期だった。
「コピー年鑑」というブ厚い冊子が毎年発刊されている。
年ごとに順番にページをめくってみると、わりとハッキリと熱気のあった時期が特定できる。
それは、湯村輝彦がカバーと挿絵を描いている1977年度版から1983年度版までの6年間である、と言ってしまおう。
みんなの知っているコピーライターの名まえと言えば、糸井重里でしょう。
その糸井さんは、77年くらいから、めきめきと頭角をあらわしていった感じで。コピーライターの象徴的な存在と言っても良いかもしれない。
コピーライター・ブームの前には、アートディレクターの時代があったようだ。石岡瑛子さんである。
とうじ、パルコのポスターは話題になったりしていたらしい。
「広告批評」を主宰していた天野祐吉さんは、「コピーライター・ブームの前に、石岡瑛子が広告を焼け野原にした」とかなんとか、おっしゃっていたように記憶している。「焼け野原」というコトバが示すとおり、文字どおり、広告界では鮮烈だったんだと思うね。たぶん。
パルコの代表的なポスターのキャッチコピーは、「モデルだって、顔だけじゃダメなんだ。」「裸を見るな。裸になれ」だ。
で、急に思い出したけれど、デパートの丸井のキャッチコピーに「フルネームで語れ。」というのがあった。
製作者は不明だけれど、かんじが似ているとおもう。なんていうんだろう。個人がキリっと立っているよネ。
フェイスブックはハンドルネーム(フルネーム)では、だめで。フルネームでなくてはならない。
日本に入ってきたときは、個人的に「日本では受け入れられないだろう」とおもっていた。
だが予想外に、フルネームで語るひとが多かった。
フェイスブックの全世界のユーザーは22億人だ。日本人のユーザーは2000〜3000万人らしく、じっさいには、その数字が多いのか少ないのか、よく分からない。
ただし、かつての丸井のキャッチコピーの「フルネームで語れ。」と、フェイスブックのフルネームで語れは、感じがちがう。
たとえば、アメリカは「フルネームで語れ」的なキャッチコピーは有効ではない気がしている。フェイスブックのばあいは、実際のフルネームの語りだ。